2018-01-01から1年間の記事一覧
常々気にしていた。私は亡くなった人の話ばかり書いている、と。 子どもがいないせいもあるかな、思考は未来よりも過去へ向く。 幼い頃に亡くなった母のことをずっと考えながら育ったから。 結婚時には夫のと併せ8人の祖父母は皆他界してしまっていた。 結…
ジンクスって本来は不吉なものだけに使う言葉だって。ゲン担ぎと一緒にしてた。 コープのチラシに漬け梅が載り始める時期になった。「梅干し作りを失敗すると縁起が悪い、って昔から言うんや。やめとけ」 結婚して間もない頃に挑戦しようとした私に、父が待…
毎年5月初めに地域の大々的なお祭りがある。道路沿いは軒の高さにしめ縄が張り巡らされ、幾つかの町内からそれぞれお神輿を担いで神社に終結する。その賑わいを、ここに越してきて8年弱の我が家は遠巻きに見ている感じだ。 ホコ天と化した道路に並ぶ屋台を眺…
ケンカになった。 昨日の昼前、夫の「わ、雨降ってきた」に、私は驚いた。「昼頃に雨降るって朝から何回も言ってたじゃないっ」「何回も言ったというけど、何回言った?」「朝から3回か4回くらい。お天気次第で出掛ける予定を考えなきゃと思って」「言ったつ…
何年も前だ、朝の洗面所で夫がつぶやいた。「くそ、人をカプセル怪獣みたいに使いやがって」「かぷせるかいじゅう…?」「知らんのか? カプセル怪獣というのはやなぁ、ウルトラセブンがピンチの時にケースからカプセルを取り出して…」 ここで夫はシガレットケ…
週末は快晴だった。いつものようにスクーターに二人乗りで出掛け、回転寿司でお昼を食べて、帰りは上り坂、連なる六甲の山並みを夫が仰ぐ。「ええ天気やな」「うん」「新緑がきれいやなぁ」「ほんと」「ほんまにええ天気やなぁ」「うん」 夫の感動に対し、私…
授業参観、親に来て貰ったのは1回きりだったのか。小学2年の国語の授業。覚えているのはこの時だけだ。 母が亡くなったのが私の小学校入学の3か月前。狭い町内で若くして病死した母の噂を知る人は多く、父や私に憐みとちょっぴり好奇の眼差しを浮かべた。父…
メイクをするのは昨年6月の甥の結婚式以来、10カ月ぶり! 鏡を覗き込みながら手順を思い起こす。仕事を辞めて一番嬉しかったのは化粧しなくていいことかもしれない。それほど嫌いなのだ。マスカラがカピカピに乾いてしまっていた。塗れない。それすら、後で…
小学生時代のお使いの思い出話になった、夫と。 私は父に命じられ、豆腐を買いに行った。その帰りにレジ袋をすとんと落としてしまった。豆腐は容器の中で崩れていた。それを父は「こんなもの使えるか」と怒りをあらわにした。「でも子どものそういう失敗って…
決めつけないで、と。子育て経験のない私が、だからこその子ども目線で。 大好きな美容師のKさんが産休から復帰され、8ヵ月ぶりに鏡を介しての会話。Kさんは今回2人目のお子さんを出産されたのだが。「1回経験した事だから大丈夫と思っていたけど、キツイで…
アナウンススクールでは自己紹介を求められることが度々あった。自分の売りだけを面白く端的に。都合の悪い事はあえて言う必要はない、いや言ってはならないのだ。 これは極端な例として、人物を正確に伝えるのは難しい。 今週のお題「自己紹介」 前の記事で…
特技を訊かれた。プロフィールには”趣味・特技”欄が大抵ある。 ①アイスクリームをどんぶり1杯食べられます! 大好きで、いくら食べてもお腹を壊さないし、こめかみがき~んとなることもない(どこか壊れてる?)。真冬の屋外でソフトクリームを立て続けに3本食…
今日は義妹と出掛けた。2人きりで会うのは初めて。妹といっても私より年上のしっかり者だ。父が亡くなって半年が過ぎた今頃になって保険証の返納やらに手を付けたら、喪主を務めた弟の通帳等が要ると分かり、義妹が同行してくれることになった。朝から車で連…
真夜中に手の甲をさすられていた。左手の甲を隣で寝ている夫がさすっている。 なんでだろう。腫れているからか。関節炎を持つ私の手首を夫はこれまでにもさすってくれたことがあるが、今は炎症がそれほど酷くないしなぁ。 ああ。かさつきを確かめているんだ…
数年前からネットで知り合った友人と毎年お花見をする。母親程の年上の彼女は博識で、今年は散り始めたソメイヨシノではなく、只今満開のツツジを見せてくれた。 コバノミツバツツジという小ぶりの可愛らしい花は、兵庫の天然記念物で、古社・廣田神社の広大…
思いがけず、20年以上前に自分の親が手掛けた仕事に辿り着けるなんて素敵だよね。 掘込みガレージのシャッターが壊れた。調子悪かったのが開かなくなった。この家に暮らして8年になる。前の住人から頂いた設備類取説類ファイルにシャッターの領収証が残って…
記憶に残る最初の桜は小学校の入学式で見上げた桜だ。 校門の傍に何かの石碑と枝を広げた桜の木があって、親たちは代わる代わる子どもをそこに立たせて写真を撮った。「はいこっち向いて…チーズッ、あ目瞑った」とか言われても、眩しくて。 春に三日の晴れな…
今週のお題「お花見」 おとといブランコを漕ぎながら見た桜があんまり愉快だったから、昨日も陽気の中へ出掛けていった。とりあえず図書館を目指すことにして、ひと駅分歩く。 橋へ差し掛かると、川沿いに続く桜の下ではレジャーシートの上でお弁当を開くグ…
勝手に憐れんでいるだけだ。当の本人(猫)は飄々としたものだ、きっと。 昨夜10時過ぎ、庭に面したサッシへ、うちの元野良猫アポロが走り寄り、うなおお~~う、と吼えた。アポロは物凄く警戒心が強くて、庭に来訪者…猫、狸、アライグマ等の気配を察すると窓…
春はいいね。夏秋冬もそれぞれ好いけど、春は特別だと思う。 私は出不精で外出しても買い物なり用が済めばさっさと帰るのだけれど、今日はぶらぶら歩きたかった。駅前の郵便局で荷物を送った後、商店街とは反対のほう、静かな住宅街へゆっくりと入っていった…
大学生の時かな、私は父に言った。「うちは大学の教授位のインテリの家だと思っていたけど」「ああ、そうだよ」「でも、お父さんもお母さんも高卒だし、お父さんは普通のサラリーマンで仕事もそんな学校の成績が要るようなものじゃないし、職場を転々として…
白黒はっきりつけたいタチだった。真実にしか価値はないと考えるタイプだった。けれど、美しいグレーがあることや、何が本当かなんてどうでもいい場合があることを、肯定し始めた。 これが年の功なら老いもいいものだ。心がくったりと柔らかく楽ちんだもの。…
美しいものは、客観的な存在ではなく、主観的に捉えるものだと書いてあった。そこに在るのじゃなく、人の心が見出して、初めて”そこに在る”と。 瞼を閉じたままでは無いも同じ。蝶を見ても、ある人には毛虫が飛んでいるにすぎない。これ、私のことだ。蝶は苦…
外から地球を見た宇宙飛行士さん達は人生観が一変すると聞いた事がある。そこまでは及ばないが、5年前に人生初の入院手術をしてから、自分の何かが変わり始めたと感じている。 見るものが新鮮で、気持ちが外へ誘い出されていくような伸び伸びとした感覚。元…
アポロのしっとりとした情緒には日々感心してしまう。 例えば、私が台所の流しへ立つと背後に気配がする。台所入ってすぐのところにアポロは座っている。あるいは食器棚の角に体を擦りながらくねくねしている。気が付いて声をかけてくれるのを待っている。私…
これだけ春めいてくればと、頭の中で勝手に桜の蕾を膨らませている。 うちの近所に、ただの坂道なんだけど、桜の名所がある。車が交互通行できないほど狭い、長くて急な坂の、両側から樹齢60余年の桜並木が枝を差し掛け、トンネルを作る。普段は閑散とした住…
そういえば、ふっふっふ、私に似合わぬ忖度。 一昨日書いた通り、弟の居間で古いあれこれを整理した時、亡くなって久しい母の筆跡達は処分することにしたけれど、その中に一枚だけ、父の書があって。 色紙に私の名前がひと文字大きく書かれている。これは私…
十年ほど前、父が施設へ入ることが決まった時、実家(と言っても借家住まい)を引き払った。家財を随分大胆に処分したが、踏ん切りのつかなかった物は弟がトランクルームで保管してくれた。それを、父も亡くなった事だし、整理してしまおうということになっ…
ちがうのです、 私が目指したいのは、 例えば見比べて違いが分かったうえで、 澄んだ空も、澱んだ空も、 どちらもそれなりにいいなぁ、と、何があっても全てを善と見られること。
懐かしさにもスパンと深さ様々。 この5日間に2つの再会があった。 昨日は夫の従姉の娘Kちゃん…この間柄をいとこ違いと言うのですって。呼び方が冷たくないかい?…と2年ぶりに会えた。 Kちゃんは毎年広島から神戸まで遊びに来てくれる。ちょっと凄い人物だと…