数年前からネットで知り合った友人と毎年お花見をする。母親程の年上の彼女は博識で、今年は散り始めたソメイヨシノではなく、只今満開のツツジを見せてくれた。
コバノミツバツツジという小ぶりの可愛らしい花は、兵庫の天然記念物で、古社・廣田神社の広大な境内に2万株も植えられている。花は桜だけじゃないんだなぁとうっとり空を仰げば、そこは花の終わったソメイヨシノの巨木の下だと気付き、少々バツが悪かったり。
自然の精気をチャージして貰い、清々しく帰りの電車に揺られていると、腕に小さな蟻が一匹這っていた。あらら、連れて来ちゃったか…。仕方ない降りたらどこかへ逃がそう、と小さな袋にそっと閉じ込めた。
駅前に大きなサクラが1本植わった広場で下草に乗せた。動き回っていた蟻が、ここはどこだとばかり固まっていた。元の群れに帰れなくてごめん、元気でねとその場を離れた。
今までにも何度かそんな事があった。が、今日はどうにも気になって『はぐれた蟻』で検索した。
他の蟻群には受け入れて貰えないらしい。
そして、孤立した蟻は。
働き蟻はグループで行動するものであり、社会的動物(人間も)が社会から隔離された時に受ける悪影響が検証されていた。
孤立すると行動や振舞い方が分からなくなり、休みなく歩き続け、しかも食物を摂取しても完全に消化出来ず、数日で死んでしまうという。
人も精神的ダメージを受けると食欲をなくしたり、自暴自棄になったりすることがある。同じなのだ。同じだなんて。
他の生き物にとり時に傍若無人な存在になる人間。私が生きることを許される為に、何か世界の役に立てるよう心掛けるからと、さっき別れた蟻に詫びている夕べ。