2019-11-01から1ヶ月間の記事一覧

1122の日を前にして

夫を見送る時の気持ちって毎朝違うなぁと、ふいに思った。 私は駅前のロータリーの一隅に停めたスクーターのそばに立ち、駅舎のエスカレーターで上っていく夫を見上げながら。それはほぼ毎朝繰り返される光景なのに、結婚してもう23年近くなるのに、今更そ…

ゆさとのお別れ 6

純真無垢に生きたゆさに心残りなどあろう筈もなく、颯爽と帰ってしまった。 亡くなった後の遠ざかり感が速くて、私は呆気にとられている。 けれど、忘れられるわけではない。 見ると辛いよなと夫が言い、ゆさのケージを私は速やかに畳み、お風呂で洗ったが、…

ゆさとのお別れ 5

胸の上にゆさを載せたままでコーヒーを飲んだ。「ゆさ、ふしぎだねぇ、こんなに悲しくてもコーヒーはおいしいよ」 昔読んだ少女漫画を思い出した。主人公の女子高生が嘆くのだ、あたしってば失恋してもおなかが空くんだなぁって。 ゆさの心臓の鼓動が止まっ…

ゆさとのお別れ 4

亡くなる前日の朝には、ペレットどころか軟らかい青菜も食べないし、水も飲まないし、怖くなった。このまま何も食べないならば、動物病院へ点滴に行かねば。果物なら口も変わるし、カロリーも高めだし・・・祈るような気持ちでゆさの口元へ運ぶとしゃくしゃ…

ゆさとのお別れ 3

昼間は家事や自分のしたいことをしながら、ゆさが倒れていないか確認した。自分でえさが食べられないこともあり、長時間留守には出来なかったが、スーパーへ買い物には出かけた。ゆさに与える青菜の仕入れも重要だった。 好んで口にしたのは、水菜や小松菜、…

ゆさとのお別れ 2

3年前のゆさのウイルス発作以降は、神様が与えてくれたロスタイム・・・近頃はアディショナルタイムというようにサッカー中継で変わっていたっけ、とにかくそのオマケみたいな時間だろう。 人生の目的のひとつを「愛情を学ぶこと」だと私はこの数年考えるよ…

ゆさとのお別れ 1

ゆさがとうとう帰ってしまった。10月28日の朝に。享年13歳と7ヶ月。 今日でちょうど2週間たった。 何と言えばいいか分からない。何が書けるか分からないけれど書いてみる。ゆさがくれたものを留めておきたくて。少しずつ、やってみよう。 ウサギの寿…