対岸でも背中合せでもない、手を繋いでいるんだ

 常々気にしていた。私は亡くなった人の話ばかり書いている、と。

 子どもがいないせいもあるかな、思考は未来よりも過去へ向く。

 幼い頃に亡くなった母のことをずっと考えながら育ったから。

 結婚時には夫のと併せ8人の祖父母は皆他界してしまっていた。

 結婚して5年目に夫の母が亡くなった。

 昨秋に父が亡くなった。

 死は常に傍らにあり、思い出は私の潤沢にして最高最大の財産。

 それにしてもだ、私って辛気臭い奴かな、と。

 

 先週、夫の父が亡くなった。

 なんだこれ。

 

 通夜の締めくくりにご住職が参列者にお話し下さった。

「皆さんは普段、死というものから目を背けている。

 しかし身近な人の死に触れると、生というものの有り難さを知る。

 今一度、見つめてみてください」

 それじゃ遠慮なく。もう躊躇いません。