思い込みで可能性はなくなるんだな、って思った。
比較的イベントの少ない日だけど、その分深く感じられることいろいろ。
斜向かいのお姉さんが退院して、別の人が来た。陽気な人で、挨拶後しばらくお話していると、不意に声を潜め、
「私の前にこのベッドにいた人は、亡くなったの?」
と、茶目っ気たっぷりに問う。
いいえ、物凄く元気に回復されてお帰りですよ!
強く答えて。だんだん腹が立ってきた。嫌なこと言う人だ。なんて物言いなんだ。
看護師さんとのやりとりが聞こえてくる。手術を控えた身なのに、指示を聞かない。わがままだ。おまけに余計な、嫁の悪口を他人に平気で声高に言う。
ベッドで寝そべり、電話をかけ、わーわー喋る。
……これは。何の苦行だろう。私がわがままな患者だから、いいコンビだと、同室にさせたのか?? 部屋変われるか??
そこへうら若い、チャーミングちゃっかりな看護師さんが来て、その人へ注意!
次に、私へ、
「ごめんなさいね、同じお部屋で大丈夫ですか? 何かあったらすぐ言ってくださいね」
と。私は、大丈夫ですよ、と笑顔になっていた、善人面? それもあるけど、看護師さんの心遣いが嬉しかったのだ。
ふと、過去二回と入院では考えなかった事が浮かんだ。この病棟の入院患者はほぼ七、八十代。様々な人生のお手本がここに集まっている。自分は、どんなふうに暮らして、どんな年寄りになりたいのか。しっかり自覚して生きていこうと思った。
夕方のリハビリで。
肘の手術で、指に影響がないかと懸念され、理学療法士の先生が丹念に指を調べてくださる。
おかげさまで指は元どおり動いてます。あ、ギクシャクするのは、以前からの、リウマチによる関節の変形で。
すると、
「動きは、筋肉の運動だから、本来の動きをなぞるように動かしてやれば補正出来ると思います」
目から鱗たった。もう仕方がないと諦めていた。それが、改善の余地さえ奪うのだ。
なんだか、希望が出た。
先生、本当にありがとうございます!
余談ですが、この素晴らしい発見をくださったのが、入院日記初日か二日目に書いた、あの、扁平足呼ばわりの先生なのです!!!