入院日記11/27、11/28退院。

 日曜日の病院は土曜にもまして穏やか。

 隣のベッドの見ざるが「寂しくなるわ」と時折言う。

 そう、明日退院。私の中に静かな緊張が漂っている。

 コロナ禍の病院は全体が隔離病棟。

 家族の面会も叶わず、差し入れ物品は職員経由。入院患者には外部との接触を避けるよう、外来にある売店へ行く時間帯さえ指示されている。入院患者もほぼマスクを着けたまま病室で過ごす。

 この状況に、なんだかびっくりしてしまう。

 ラインがつくづくとありがたい。夫とリアルタイムで文字の会話ができるのだから。

 とはいえ、互いの様子を感じられるからこそ、もどかしさも募る。夫の疲弊を軽くしたい、早く帰らなければ。主婦としては出来損ないのこんな私でも、家に居るだけで、猫や鳥や亀が救われ、夫は家事をせずに仕事に専念できる。

 一人で食べる食事が味気ないと言う夫が思われて、病院で三度三度の食事を頂きながら胸がチクリとなる。

 明日になれば。ほとんど眠らないまま夜を明かし・・・・

 とうとう月曜日の朝。

 食事の前後に荷造りをし、朝一番のリハビリを済ませて部屋へ戻るとまもなく、看護師さんが「お迎え来られましたよ」と。夫が来てくれた。

 最後に手続きをしてくれた看護師さんは、私が手術の日に支度をしてくれた人だった。あの日、とても心強かったのを思い出し、伝えきれないけれど精一杯お礼を言って病棟を後にした。

 20日間の入院で、夫婦は運命共同体だと実感した。離れると不自由だ。夫は私にしか通じない話や感情の中に生きている。私は夫のデータベース。そして夫は私の願い。人から見れば不器用な生き方をどこまでも貫いて、大きな実りを得て欲しい。

 このことを忘れないように、改めて二人でスタートをした。乗り込んだ車のミラーに病院はみるみる小さくなって、見えなくなった。