今日は言おうと決めた。そしたら緊張しちゃって。
ギプスが明日取れる、抜糸して。あとは2週間固定している肘関節が動くようリハビリを十分するのが理想だが、早く帰らないと、家事はともかく、猫のケアで、夫は毎朝3、4時に起こされ、出勤している。これでは夫がもたない。
来週月曜に退院させてください、リハビリは通院で頑張りますから。
言おうと決めて、いつ言おういつ言おうと朝からそわそわ。
まず看護師さんに言うと、先生が来るからその時に、と。
で、ガーゼ交換にいらした先生に言う。シミュレーションした言葉は出ず、たどたどしく、退院を急ぐのですが、と。
明日のキズの具合がよければ、OK。
ああ早く明日このギプスが取れたらどんなにか軽くなるだろう。
そわそわはやまない。
この入院で決めてる事があった。一日に何十回となく受ける医療行為や生活サポートの折、
すみません
でなく、
ありがとうございます
にしようと。
どうしても誰かの手を借りなければならない場面がある。それが私はすごく苦手なんだと痛感する。
夕方、デイルームの本棚を漁っていると、入院患者で私より年上の方が通りかかった。
私と本棚へざあっと寄ってこられ、下の段を指差し、
稚拙だけどこういう子ども向けの物語なんかが、気が疲れず、すっと読めるわよ。
とだけ言って立ち去った。
とても温かい気持ちで童話を抱えて部屋へ戻った。