ひとの目なんてどうでもいいの

 近所の桜並木。
 この時期は訪れる人でいっぱいなのだけれど、今年はひっそりとしている。
 見てくれる人がいないのは寂しいだろうか。
 仰ぎ見たけれど、別にそんなことはなさそうだ。むしろ伸び伸びと咲いているように感じる。
 桜並木の町に住んで十年、気付いた事がある。桜の蕾は、お正月の頃にはもう枝についているのだ、小さいが確かに。
 早くから着々と準備をし、いよいよの時期となり花を開く。
 訪れることがなくても、人々が寄せる愛着は揺るぎない、ワタシはこの世界に愛されている、この世界のすべてのものと同様に。
 桜たちは知っているのだ。
 世界を、コロナのことを憂い、応援してくれていると、そんなことを感じた。