2017-01-01から1年間の記事一覧
水着姿を確かめる。さいわい洗面台の鏡では腰から下は見えない。 服の下に水着を着ていくなんて、小学生みたい。 同じことを、そういえば一年前にも思ったっけ。ちょうど去年の今頃だった筈。それまでの一年と、それからの一年は、人生のエアーポケットみた…
畑があって、田んぼが広がっていて、それを抱くようになだらかな山がぐるりを囲む。山のふもとに離れて建つ民家は昔ながらの日本家屋。農道を軽トラックが走っていく。 父のいる施設は、こんな典型的な里山にある。2時間に1本来るか来ないかのローカルバスを…
我が家はゲコゲコ家族、夫も私もお酒を飲まない。夕食後におやつをつまむから、買い置きをしている。 スーパーのお菓子の棚を眺め……今日はしょっぱ系はおにぎりせんべいにして、甘いサクサク系はまだマリービスケットが残ってる、残業で疲れて帰ってくるだろ…
乗ったバス、いつもの路線。信号で止まった交差点名プレートを見るともなく見る。漢字で大きく「高橋」、その下にローマ字で「takabashi」…ん?んん?? タカ・バ・シ!? タカハシじゃなく!? いやあびっくりした。タカハシ、だと思い込んでたよ。ほらごら…
昼下がり、庭で「フギャ~~オ」と猫の雄叫び。さっき出て行ったうちのアポロではと庭に面した掃き出し窓へ急ぐ。我が家の庭にはヨソの猫やアライグマなんかも来ることがあるが……アポロだ、庭を囲う胸の高さのフェンスの上で、おっと向かい合っているのはよ…
我が家の夫婦喧嘩の典型的なカタチ。 お昼過ぎ、二人で帰宅したら、夫宛宅配の不在票が。夫は再配達の連絡をしようとしたが、私が「いつも夜もう一度来てくれるから大丈夫だよ」と言うので、やめた。 そのまま、気が付けば夜9時になっていた。 夫 来なかった…
高校生の時に私は、大人になりたくない、と言った。諦めたり、ズルくなったりして生きるのは嫌だと思った。 その願いは幸か不幸か叶って、子どもを持たないから幾つになっても親の立場でなく、子どものままの目線で、精神的に成長出来ずにいる。 しかし、そ…
「ラムネの瓶が嫌い」と私。「どうして?」と夫。「だって、中のビー玉が絶対に欲しくなるのに、絶対にとれないんだもん」 割らない限りは。 だけどあの、綺麗な瓶を壊してしまったら、ビー玉の価値も無くなってしまう気がする。 そう本当はね、あの瓶が大好…
なぜ生まれてきたんだろう、とか、 人生ってなんだろう、とか。 これまでに何度かは考えたことがあったと思う。 幸せでありたいし、人に喜ばれる偉い人になれるにこしたことはない。 だけどね、アポロのだらけきった寝姿を見てるとね、 ”猫一匹、こんなに幸…
夏休みなんだな。虫取り網を持った小学生男子を立て続けに見かけた。 お目当てはセミか、トンボ、蝶あたり? 街中じゃ難しいだろうけど、花形はクワガタやカブトムシよねぇ。 私の育った辺りは山のすぐそばだったから、男子達はクヌギの木を蹴飛ばしたり、木…
日曜日だけど夫は出勤で、ウィークデイと同じように、梅雨曇りな昼下がりをぶらぶらとスーパーマーケットに出かける。 持ち重りのするエコバッグを肩に自動扉をくぐって歩き出し、ふと思った。 子供もいない専業主婦の私って、アポロと一緒じゃん。 アポロと…
え~、…誤解を恐れつつ申します、なので苦情は受け付けません…でもどうしても文句言いたいという方がいたら、コメント欄にどうぞ。 ”赤エンドウ豆”って不味いと思う、はっきり言って。けれどその不味さが旨い! 赤エンドウ豆ってアレです、みつまめに入って…
家の前の溝に、2年くらい前からモミジが生えてきていた。小さな苗木が愛らしく、しかしここで大きくなるわけにもいかないがなぁ…と思いながらそのままにしていた。 モミジは少しずつ、すくすく育って、この春には細い枝みたいな幹が1メートルに達し、か細い…
生き物が大好きな夫の誕生日プレゼントに、 『イモリとヤモリ』 という絵本を買うことにした。最近発売されたものらしく、ネットで1ページ紹介されているのを見て、夫が気に入った様子だった。 で誕生日当日、比較的大きな書店へ行くが、見当たらない。店員…
商店街で、靴屋さんの前を通った時に、こんな札が目に入った。 『多少難あり』 店先に山と積まれたセール品の一つに付けられていた、マジックで手書きの札。 え~っと、こういう場合、よく見聞きするのは、 『少々難あり』 ではないだろうか。 『多少』ヴァ…
社会のエアポケットにいるな、と昨日そんなことを思った。 体を壊して仕事を辞めたのがちょうど一年前。それから通院して回復していったが、この春に手術入院をしたので、ほとんど家にいた。 もともと仕事も週末のみの専業主婦に近い状態ではあったが、僅か…
出勤する背中にふと思う。 ”便利な女、都合のいい女になるのは嫌だなぁ” とここですぐ思った。 ”便利な女になれてるか?なってから言えよ” あつかましいっつーのと、自分に苦笑い。 毎日が穏やかで時々怖くなる、夫に他に好きな人がいたらどうしようって。 …
君が好きだ、 君を好きだ、 どちらがいいかな、 そんなことを迷う週末。
一緒に、録画した海外ドラマ見たり、ディスカウントショップ覗いたり、そんな余韻の中で、パソコンを開いていた。 先週から痛むと言うので塗っていたバンテリンを、夫は今朝塗らずに出掛けてしまった。今頃痛んでいるだろうかと考えていたら、携帯のラインの…
そうか、私は春を48回経験したのか。 そんなふうに捉えたことがなかったけれど、48歳ということは、春を48回過ごしたということで、そんなものか……なんだか少ないように思う。 幸田文『闘』に、70歳の農夫を語ったこんな一説があった。 「ひたすら農耕一筋に…
クリーニング屋さんの記憶力にびっくりする。 そのお店には転居してきた数年前からお世話になっているけれど、自宅で洗えないほどデリケートな衣類がほとんどないから、足を運ぶのは年2回。 それなのにだ。 開け放たれた引き戸をくぐるなり、「あら○○さんだ…
単語が意味以上の響きやニュアンスを持つのだと思い知らされる。 あやめる、という言葉。子供の頃からじいちゃんと時代劇を見ていて時々耳にしたが、ごく最近になって、”あれ…なんかうるわしい響きの言葉だなぁ”と感じるようになった。殺す、という恐ろしい…
夢を見ていた。仲間3~4人でお伊勢参りに行こうと、特急列車にわいわい乗り込むのだが、そこは夢、同行者たちは私の知らない人ばかり。実際にはアラフィフの私含め、全員が60オーバーだった。 目が覚めると、先に起きていた夫が私の顔を覗き込んでいた。…
「よろしゅうおあがり」 看護師さんに言って貰ってはっとなった言葉だ。 この春の入院中のこと。ご馳走様でしたと食器を返す患者たちに、ひとりだけ、「よろしゅうおあがり」と答えてくれる看護師さんがいた。 そんな年配のひとじゃない。だけど、石けんと押…