サクラサク

 その知らせに動揺していた、わたしは。

 弟がラインをくれたのだ、中学三年になる一人娘が高校に合格したと。

 高校から届いた合格通知も写真で添付してくれて。

 仲が悪いわけではないがお互い結婚して家庭を持ち、普段はほとんど行き来がない。

 それなのに、通知が届いた当日すぐにわたしに知らせてくれたのだった。

 姪の高校合格は、子どものいないわたしには何かこう、きらきらした青天の霹靂。

 気持ちが上ずって、弟になんと返信したらよいか迷い、夫に相談した。

「これまで大切に育ててきて義務教育を終えたことを、上から目線にならないよう労う言葉で」

 夫は言うと、すぐに上の空になってスマホを見始めた。

 そして十分も立たないうちに、

「お祝いにこんなのどうかな」

 と、スマホの画面をわたしに向けた。

 艶やかな花が描かれたピンクのドレスウォッチ

 少しおとなっぽ過ぎないかと思ったが、姪っ子がこれから歩む未来へのはなむけの品として、夫の感性にゆだねることにした。

 喜びを分けてくれた弟夫婦にも感謝。

 ひと足早い、春の兆し。