一番身近で目撃できることとして。
夫はまったく神頼みをしない。どんなに辛い時痛い時も、わたしのようについ『ああ神様たすけて』と思ったりしない。
雨降りの朝。駅まで、普段はバイクで四、五分の道を、二十五分歩かなければならない。夫が出勤しようと靴を履いた途端、雨が上がることがよくある。
「やった、バイクで行こ! アナタは普段の行いが良いから神様が味方してくれる」
わたしが言っても、
「俺は… 神様は、味方もしないし、バチを当てたりもしないと思う」
と何の感慨もない様子。夫にとって、神様とは超然と存在する宇宙の摂理、みたいなもの?
自分自身がアテにしないからといって、多くの人が崇める『神様』を否定したりもしない。
なんだか、すごい、と思う。
でもほんとに苦しい時、例えば虫歯がぎゅーっと痛み続ける時、すがりつく、よりかかる、泣き言をぶつける相手がいてもいいんじゃない?
そんなことをしたって何の解決にもならない、そう言って夫は笑いそうだな。