1122の日を前にして

 夫を見送る時の気持ちって毎朝違うなぁと、ふいに思った。
 私は駅前のロータリーの一隅に停めたスクーターのそばに立ち、駅舎のエスカレーターで上っていく夫を見上げながら。それはほぼ毎朝繰り返される光景なのに、結婚してもう23年近くなるのに、今更そんなことを思う自分が可笑しかった。

 一昨日は、その前夜夫に叱られた事を私は引きずっていて、ぼんやりと夫を見上げていた。夫はいつものように手を振ってくれたのに、その日は午後まで凹んでいた。

 昨日の朝の私は、視線を結んだまま徐々に遠ざかる夫に、名残惜しいようなほの温かい感情を抱き、夫の一日の幸運を願った。

 日中それぞれの身に起きた事、夫の帰宅後から就寝まで、起床から出勤まで・・・交わした言葉、胸のうちの思い、体調などが織りなす二人の関係はヤジロベエのよう。
 いつもいつも変わらずに機嫌よく夫を見送りたいのに、23年も夫婦でいても、揺れてしまうのだなぁ。