ゆさとのお別れ 6

 純真無垢に生きたゆさに心残りなどあろう筈もなく、颯爽と帰ってしまった。
 亡くなった後の遠ざかり感が速くて、私は呆気にとられている。
 けれど、忘れられるわけではない。
 見ると辛いよなと夫が言い、ゆさのケージを私は速やかに畳み、お風呂で洗ったが、そのパーツ達は、コンパクトになっただけで、ケージのあった場所に未だに立てかけたままだ。だってどこへ片付けていいか分からない、10年以上もそこにあったのだから。
 スーパーへ買い物に行く度、もう小松菜も水菜も人参もカボチャ(種がゆさのおやつになった)も買わなくていいんだと気付いて胸が疼く。
 13年以上通ったうさぎ専門店へ行く用が無くなったと夫が嘆く。
 猫のアポロの瞳を見つめると、天界へ通じている気がして、アポロに向かってセリフを棒読みするような口調で「ゆさをかえしてくれ~」と呟いてみる。横合いから夫が「アポロに言ってもしょうがないよ」。うん、無意味なのは承知の上なんだけど、ね。
 TVにうさぎの映像が流れると、辛さと愛しさがごちゃ混ぜに湧きあがる。瞬時に泣き笑いしてしまう。
 ゆさに、f:id:wabisuketubaki:20180601124701j:plain  会いたいな。f:id:wabisuketubaki:20180601124507j:plain

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