純真無垢に生きたゆさに心残りなどあろう筈もなく、颯爽と帰ってしまった。
亡くなった後の遠ざかり感が速くて、私は呆気にとられている。
けれど、忘れられるわけではない。
見ると辛いよなと夫が言い、ゆさのケージを私は速やかに畳み、お風呂で洗ったが、そのパーツ達は、コンパクトになっただけで、ケージのあった場所に未だに立てかけたままだ。だってどこへ片付けていいか分からない、10年以上もそこにあったのだから。
スーパーへ買い物に行く度、もう小松菜も水菜も人参もカボチャ(種がゆさのおやつになった)も買わなくていいんだと気付いて胸が疼く。
13年以上通ったうさぎ専門店へ行く用が無くなったと夫が嘆く。
猫のアポロの瞳を見つめると、天界へ通じている気がして、アポロに向かってセリフを棒読みするような口調で「ゆさをかえしてくれ~」と呟いてみる。横合いから夫が「アポロに言ってもしょうがないよ」。うん、無意味なのは承知の上なんだけど、ね。
TVにうさぎの映像が流れると、辛さと愛しさがごちゃ混ぜに湧きあがる。瞬時に泣き笑いしてしまう。
ゆさに、 会いたいな。