愛でたい

 ぼんやりしてる間に桜の花もおしまいになって。ひと月以上更新してない(汗

 憂うべき出来事が幾つも起こっていて、春の到来を喜んでいいものかと考えてしまうけれど、そこここで咲く花は、陽光に輝いて本当に綺麗。

 ある方のブログで花瓶に美しく活けられた写真を拝見して、二十年前に亡くなった姑を思い出した。

 華道師範の免状も持っていた姑は、家の中にいつも花を飾っていた。買い物に出掛けると、花屋さんの前で足を止め、切り花を数種買った。

「お義母さんはほんとにお花が好きですね」

 ある時そう言った私に、姑は思いがけない事を口にした。

「ふふ、パパへのあてつけよ」

 パパとは舅のこと。マイホームを手に入れた姑は、せっせと庭に花を植えた。それを舅は抜いてしまうのだ。舅は暇さえあれば鋏を持って庭木の手入れをする。その際に、下草をすべて雑草と思うのか、抜いてしまう。姑が「これは花の苗だから触らないで」と何度言っても次の日には苗はなくなっている。

「何度喧嘩したことか。それでもパパは黙って、苗を抜いてしまうの」

 舅の思考がサッパリ分からない。都合が悪いと黙るタイプの人だから話し合いもできないというのだ。私も舅に怒りが湧いた。思うに、舅は無意識に草(苗)を抜いてしまうのではないか。舅は普段から自分にとって要らないものは他の家族のものだろうと無断で捨ててしまうような人だ。

「もうね、腹が立つばかりだし、花を植えるのは諦めたの。その代わり、切り花を好きなだけ買うことにしたの、高くつくのはパパへのいやみよ」

 夫婦って・・・・・。結婚したばかりだった私は、舅にも姑にも少し腹立たしい、もどかしいものを感じ、その疑問は今も解けていない。

 あてつけ、と姑は言いながら、自ら活けた花に、目を細め、微笑んでいた。愛情が華やいでいた。                                                                                                                                  ♪ 短いけれど心を打つ。朗読ですがよろしければ全文どうぞ ♪ 

    雨ニモマケズ - よろしゅうおあがり - Radiotalk(ラジオトーク)