ちんちくりんは成長の証し

 可笑しがるなんて、私はヒドい人間だ、と自覚しつつも笑ってしまう。

 駅前で見かける男の子のことなのだ。

 私は毎朝夫と駅までスクーターで行き、夫が改札へ向かう後姿を見送る。その間、家族を送ってきた車が何台か停まる。

 よく見かける白いワゴン車からは、小学生の男の子が降りてくる。身長170センチくらいありそうな、大人と変わらない体格のその子を、なぜ小学生と断言するか? それは、制服を着ているからだ。二駅先の教育大学付属小学校の、白いカッターシャツの半そでと、グレーの半ズボン。

 短か目に刈った頭髪、黒縁の眼鏡、肥満とまではいかないが貫禄のある胴回り。その姿が、どうも私には、裸の大将・山下清画伯か或いは小林亜星演ずる寺内貫太郎を思わせる。それなのに、その寺内貫太郎が窮屈そうな半そで半ズボンというイデタチなのだもの、コントか罰ゲームでもさせられているようで。

 制服とはいえ何とかならないものか。

 ところで、この子を送ってくるお父さんは、息子が降りた後、高架上のホームが見えるよう、駅から少し離れたコンビニ前で停め直し、車を降りて、立つ。腕組みし、ホームへ目を凝らす。まもなく息子が乗る快速電車が来る。そしてその電車が発車するまで見届けるのだ。電車の中から息子も、父親の姿を見ているだろう。注がれ、見交わす眼差しは、この男の子の人生の、今後どれだけ支えになるのか・・・とそんなことを毎朝思う。

    ♪ 短いけれど心を打つ。朗読ですがよろしければ全文どうぞ ♪ 

    雨ニモマケズ - よろしゅうおあがり - Radiotalk(ラジオトーク)