イモリとヤモリ、言うてる女

 生き物が大好きな夫の誕生日プレゼントに、

『イモリとヤモリ』

という絵本を買うことにした。最近発売されたものらしく、ネットで1ページ紹介されているのを見て、夫が気に入った様子だった。

 で誕生日当日、比較的大きな書店へ行くが、見当たらない。店員さんに調べて貰ったら、取り扱っておらず、取り寄せになるという。今日欲しんだけど、あれ?ヤバイ?

 電車に乗り、2件目に行く。今度は初めからカウンターで尋ねた。

 エプロンを着けた店員さんがキビキビとPCで在庫をチェックしてくれるがやはり無く(汗)、「近くの系列店にも確認しますね」と電話を掛けてくれるという。

「もしもし駅前店〇〇ですが在庫確認願います、…え~タイトルがですねぇ『イモリとヤモリ』…い・も・り・と・や・も・り…」

 そばで私は恥ずかしくなった、もう少し小さい声で言って、と。そこは繁華街ど真ん中の書店で、目の前の雑誌コーナーには立ち読みの人が沢山いる。イモリだのヤモリだの聞こえてきて、どう思うだろう。そんなことが急に気になってきたのだ。今までは携帯で絵本の表紙を出して、店員さんに見せていたのだ。恥ずかしいからとか考えたわけじゃなく、分かり易いだろうと思ったからだ。それが、ここへきて慌てた。イモリ、ヤモリ言ってるアラフィフの女…。露骨にこちらを見るような人はいなかったが、聞こえている筈だ。私は内心自分のことが可笑しくて可笑しくて。

「出版社は新樹社です、新しい樹木…、ある?ありますか!取り置き願います…」

 あった!よかった~~。お礼を言って、そこから徒歩圏内の系列店へ回った。

 ほどなく目的の店に到着した。えっと注文カウンターで名乗ればよかったんだっけ。

「ついさっき系列店から電話で取り置きお願いした**です」

「えっと、本のタイトルは?」

 おっと第二の試練。

「イモリとヤモリ、です」

「…イモリとヤモリ、ですね?」

「はい(汗」

 もう内心可笑しくて。

 お陰様で無事プレゼントゲット出来、夫も喜んでくれました。

 

 ところで、『イモリとヤモリ』、とっても良い本ですホントに!

 イラストが可愛く、内容も学術的で、生き物愛を感じます。お薦めです!