ちっぽけな、ミステリ

 いつも少し悩ましい、文芸書のたぐいに付いているごく細いリボンのしおり。

 図書館で借りてきた小説に挟まれているしおり。

 読み進めるうち、開いたページで出くわす。前に借りた誰かがそこに挟んだ。

 そこに意図は。

 たまたま任意のページに挟まれたものか。

 それとも次の人に何かを示しているものか。この見開きページに注意を払うべき一説、素晴らしい箇所を、私は見つけられずにいるのか。

 読み終えて、本を閉じる時になって、さて。しおりをどこへ挟んでおこうかと考える。心に残るページを次の誰かに伝えようとは思わない。本の中ほどを適当に開いたものの、ここに意図が生まれやしないかと、はたと手を止め、一番最後のページにするのだ。

 結婚してこの町に住むようになってから、駅前の市立図書館のお世話になっている。

 ある時、借りた本の100ページ目のページ数が○で囲んであった。気付いてみると、ジャンルや法則性は見出せないが、かなりの頻度で出くわす。鉛筆だったりボールペンが使われていたり。誰が何のために?

 この世界で私が知り得ることなんてごくごく一部なのだ。

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