世界が変わるのに

  知っているのと知らないのとでは全く違うんだなぁ。

 ゆうべTVでドイツの古い町が紹介されていた。普段旅番組は見ないのに少々前のめりで見入った。そこは私が24年前に新婚旅行で、唯一海外旅行で訪れた町だった。現地ガイドさんに連れられて歩いたきりだから、夫に「こんな感じの所あったよね」とか「ここの前歩いたような気がする」とか記憶を掘り起こしながら。

 ドイツを特別知ってる訳ではない。ヨーロッパの歴史ある町並みなんてどこも似ているだろうに、見ていると、あの時の空気・・・季節は冬で一日中気温は零度前後、薄い曇天と淡い陽射し、気まぐれに頬に触れる雪片・・・が蘇る。

 この五感の動きは、たとえば、やはりTVで猫が映った時にも起こる。子どもの頃から幾度となく触れ合った生き物。姿を見ながら、毛の手触りまで感じている。

 感覚だけでなく、感情にも反映する。

 小桜インコの迷子を初めて預かった時。人にはとても慣れているのに、かごの中へ手を入れると、指を血が出るほど強く咬むのだ。心外だ、どうしてだ、この咬み癖のせいで捨てられたのではないかと思ったほど。セキセイインコは飼ったことがあるが様子が違う。とにかく困ったもんだと思っていた。が、その後、『小桜インコの育て方』という本を開くと・・・・小桜インコは別名ラブバード、とても情の深い鳥なのだそうな。特にメスは子育ての場となる自分のハウスが非常に重要で、全力で守る。

 ああ、だから。かごの中で威嚇する小桜インコがいじらしく、いとおしくなった。

 知っているのと知らないのとでは180度変わってくることもある。

 行ったことのない場所や触れたことのないもの、知らない話・・・・五十を過ぎたけど、もっと貪欲になってもいいのよねぇ。どうもモノグサでいけません^^;