いきものじかん #6 あたまの良さって?

f:id:wabisuketubaki:20180610163915j:plain f:id:wabisuketubaki:20180610164416j:plain  「…踏んでるし」「?」  f:id:wabisuketubaki:20180610164506j:plain

 猫は人間の2,3歳児?? よく動物の知能を人の年齢に当て嵌めるけど全くしっくりこない。

 芸を教えるだとか知能指数を測るような検査ではそういう数値が出るのかもしれませんが、検査に挑む際の当人(動物)が乗り気どうかで結果は大きく変わるでしょう。

 算数が出来なくても感情や情緒的にはもっとオトナだと、動物と関わっていて常々感じます。

 例えば、元野良の雌猫アポロ。我が家で寝起きし始めてすぐの頃は、朝私が目覚ましを止めて立つと、寄ってきて餌をねだってにゃ~んと鳴きましたが、「ごめん、先にトイレ行かせて」と待たせたものですから、今では私がトイレから戻ってきた時に鳴きます。学習ですね。

 おねだりも、野良だったからか遠慮がちです。私が台所に入ると、そっとついてきて、入り口の食器棚の角に頬をすり、体をくねらせながら気付いて貰えるのを待ちます。「ちょうだい」が中々言えないで、もじもじ。

 遠慮しつつも甘えん坊で、かまってあげないと拗ねたように外へ出ます。

 夫を慕っていて、夫の帰りが遅いと、玄関と私の顔を交互に見ながら鳴くようになりした、少し強めに不満げに。明らかに「おとうさんまだなの?」と訴えています。

 アポロを見ていると、ああこんなだったと、私は自分の子どもの頃を思い出します。引っ込み思案なくせに注目されたい。小学2年生くらいの私です。

 でも実はもっと大人かもしれません。アポロは狩りの名手、優れた戦術家です。

 その上空気を読みます。外遊びに出て、虫やネズミは堂々と咥えて帰ってくるのですが、獲物が雀の場合は庭の隅へ隠すか、黙ってお隣の庭へ持ち去ります。鳥を狩ることを夫も私も喜ばないと知っているからです。我が家にはインコがいます。初めアポロはインコの籠に飛びつこうとしましたが、つい立てで隔て、いけませんと言い続けたのです。今は、じっと見ている事はあっても、我慢してくれています。有り難い。

 

 最近になって思い直したことがあるのです。

 小学生の頃、お互い団地住まいで犬猫が飼えない友達と、放課後になると野良猫を訪ねました。茶トラの雌猫が団地の駐輪場にいたのです。「トラ」と呼んだその猫は落ち着きがあって、私達が触ると喉をゴロゴロ鳴らしました。あげられるのは竹輪ぐらいだったのに、抱っこしても嫌がらず、されるがままに身を委ねてくれました。

 停めっぱなしの自転車の前籠で子猫を生んだことも何度かありましたし、友達が目撃したところではトラは団地の4階の踊り場から猫嫌いのオバサンに放り落とされたこともありました。

 こんな思い出話を夫に聞かせるうちに、違うんじゃないか、そう思えてきたのです。

 私はトラを可愛がっていたつもりでいましたが、あれは、トラが相手をしてくれていた、小学生の女の子と遊んでくれていたのはトラのほうだったのではないでしょうか。

 小柄な肝っ玉母さん、気立ての良い猫でした。