お弁当の思い出

「うわ~~~っコレ見て!!!」と夫にスマホを向けた。ピカチュウ、マリオ、リラックマキャラ弁写真のオンパレード、そのあまりの完成度の高さに二人で唸る。
「こんなん作ってと子どもにせがまれたら大変だ、出来が悪くて”●●ちゃんのママはもっと上手だよ”とか文句言われたら、もう」
「翌日の弁当は■さんみたいに…」
 これは実話である。夫の従姉■さんと、その母●伯母のこと。■さんが中学時代、文句を言った。「他のお友達のみたいに、フルーツを別の小さいタッパーに入れるとか、もっとお洒落にしてよ」そして次の日の昼休み、お友達と机を寄せてお弁当を開いた■さん、血相変えて蓋を閉じた。その様子に、傍にいた友達が、嫌がる■さんを抑えて蓋を取ってみれば、真っ白なご飯の上に海苔で書かれた『バカ』。
 また他日、■さんがついうっかり、おかずのことで文句を述べた翌日、またしても開けた蓋を素早く閉じた。今度は何だと友達も心得たもの、奪い取ってみれば、お弁当箱いっぱいに白いご飯、その真ん中に梅干しが一つ、これぞ日の丸弁当であった。クラス中で大爆笑、その騒ぎに隣のクラスからも見物が駆けつける始末。■さんは二度とお弁当に意見を唱えることはなかった。●伯母、お見事。
 繰り返す、これは実話である。こんな漫画みたいなことあるのね。