地球は青かった

 きび団子を差し出されても岡山県人は受け取りませんよ、家来になれってことですから…と某芸人さんがTVで話すのを聞いて、まさかと笑ったが、次の瞬間いや待てよとなった。夫に話すと「まさか」と笑った。「ネタに決まってるやん」「私だってそう思ったけど、桃太郎のふるさとだし」
 翌日夫は職場で仲のよい後輩がちょうど岡山出身だったのでこの話を出したところ、「そんなワケないでしょっ」とキレ気味の即答が。
 京都で「ぶぶづけでもどないですか」と言われたら”早く帰ってくれ”という意味だとしばしば耳にする。私は京都に4年住んだが、この風習が行使されるのを見聞きしたことは無い。
 もはや都市伝説のようなのは置いておいて、他所から見ればナンジャソレ?なお国柄はある。方言はその最たるものだろう。
 私の育った神戸は関西弁で、ほぼ大阪弁と同じだと思っていたが、大阪で暮し始めた後輩のブログ記事にハッとしたことがある。「先に行きよって」は神戸でしか通じないの?
 後輩は友達数人と目的のお店に向かって歩き出したものの、ちょっとコンビニに寄りたい。それで「先行きよって」と声をかけて皆から離れ、用を済ませて追いかけたが、皆はもうお店に入ってしまっていた。で、後輩は「なんでさっさと行ってしまうの」とこぼす。
「だって先行っといてって言うたやん」
「ちゃうっ、先”行きよって”」
「は?」
 これが神戸でしか通じないなんて知らなかった、私も。
「先行きよって」とは”自分の所用に皆まで付き合わせて待って貰っちゃ悪いから、皆はどうぞ先に進んでいて、すぐに追いかける”といったニュアンスである。そして言われた方は「分かった、じゃあ先行きよるで」と進み始めるが、ゆっくりと、追いついてくるのを待ちながら歩くのだ。
 先に行くけど、早く追いついておいでよ、一緒に行こう。そこには、アナタを置いて行かないよという温かさがあると、後輩が教えてくれた。
 生まれ育った町の良さなんんて、私も大学時代に他府県で下宿するまで思ってもみなかった。それぞれの土地にそれぞれの温もりがあるのだろう。

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