卒業アルバムを捨てようかと

 卒業アルバムってなんだろう。
 実家の荷物の整理をしていて今更ながら疑問になった。
 学生時代の記録と思い出、ひと言で言えばそうだろうが、その内容はどうだ。極めて表面的なものではないか。私は卒業後に一度開いたくらいで後の数十年は開けずじまい。大切な友人とのスナップや想い出は別にとってある。
 学校が楽しかった人には良き記念か。私はごく親しい友人とは充実の時間だったと思うが、後は、関わりの薄い大勢の同級生と経済的に苦しかった学校生活の記憶ばかりで、卒業式の日には嬉しかったものだ、次のステージへ進めることが。
 ネットで『卒業アルバム 処分』を検索してみた。私同様に処分を迷った相談の、回答は2つに分かれていた。
 1つは処分法を教示する内容。個人情報流出を防ぐ為に写真や名簿を責任をもって分解廃棄するようにと。厚紙は扱い難いですよ、と。
 もう1つは「そんな大切なものをどうして処分するのですか」だった。
 私は夫に訊いてみた。
「卒業アルバムって要らないよねぇ、捨ててもいいよね」
「…捨てることは無いんじゃない?」
「でも置いといても、見ないよね」
「 … 」
「なんの為にあるんだろうね…」
 答えは見つからないままだ。