あえて明るい服を着て

 昨日書いた「黒」のことで、あるバレエ教室のブログにぎくりとなった。
 生徒のレオタードについて『黒は締まって綺麗にみえちゃうとこあるので、できるだけ普段のお稽古は薄い色きて身体のラインをしっかり見せて下さいね!』
 …どうりで近頃、黒いセーターに袖を通してしまうわけだ(笑。
 これも昨日書いた父のこと。伯母に会えた4日前から思い巡らせている。
 私の知る父と、伯母(父の姉)が見ていた父と、ズレがあるのは当然だろう。父だけじゃない、誰にだって幾つもの面がある。ただ幼少期の父は両親に縁が薄く、幸福とは言い難く、それが父の印象を変えてしまっているとしたら悲しい事だ。私の知る父は、時には冗談もするが家で一人でお酒を飲み続けた。伯母は繰り返し「あの子は甘えん坊の寂しがり屋」だと言った。「小さい頃は明るくて無邪気だった」とも。
 一番驚いたのは祖母(父の母)のことだった。父からは”父を生んですぐに亡くなった”と聞いていた。しかしそれは”亡くなった”のではなく、曾祖母によって”子どもを置いて再婚させられた”のだった。それを1歳の父には”死んだ”ことにした。ところが、父が13歳の時、死んだ筈の母が数か月だけ帰ってきたという。
 祖母は、なんと私が19歳の時まで存命だったらしいが、父は一切関わることなく、”生きていた”ことは私に黙り通した。一体どんな心持ちだったのだろう。
 何とも言えないものに、伯母と会った翌日の私は塞がれ続け、到底分かる訳がないと諦めた。そして、強く、思った。それを夫に話した。
「人は立場によって様々に見てしまうし、見せたくない面を隠すのは当然だから、真の姿が見えないのは仕方がない、見ないことが優しさかもしれない。けれど、それでも私は良い事も悪い所も、”私が思う私”と”あなたが見ている私”が同じでありたい」

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