ちょっと、凄かった

 水着姿を確かめる。さいわい洗面台の鏡では腰から下は見えない。

 服の下に水着を着ていくなんて、小学生みたい。

 同じことを、そういえば一年前にも思ったっけ。ちょうど去年の今頃だった筈。それまでの一年と、それからの一年は、人生のエアーポケットみたいな時間だろう。

 去年の夏はまさしく骨と皮という痩せようで、それでも動けるようになった私は、何かしたくて、体に負担の少ない水中ウォーキングを思いついた。夫も賛成してくれて、結婚直後から20年ほど仕舞い込んでいた水着を引っ張り出して、温水プール施設へ出掛けたのだった。尤も数回通って辞めてしまったが。

 さて人の体はよくしたもので、調子が戻ると体重も戻ってしまった。この春の手術入院後にしっかりついてしまった贅肉を落とすべく、今一度のプール通いを決意し、一年ぶりに歩く道。ごく普通に歩けることの、感動が近頃は随分薄れていきているが、やっぱり感慨深いものがある。ちょっと思い出して覚書に。

 足首が膝位、膝が太ももくらいに腫れていた。関節の炎症は手首、肩にもあった。羽毛布団が重くて寝返りが打てない。布団の重さというよりは布団カバーとパジャマ、布同士の摩擦に勝てなくて、布団の中で動けないのだ。それでも同じ姿勢でいると膝が痛み出すから、20~30分おきに膝を立てたり寝かせたりを、激痛に耐えながらゆ~っくり、脂汗をかきながら繰り返す。夏であったし、炎症で熱いのに、体を冷やすと症状が更に酷いから、真冬のパジャマに布団をかぶり、汗だく。手指と手首と肩が痛くて、自分で布団が捲れない。あまりに暑くて片足を横から出すと、汗が冷えてきても自分で布団の中へ引っ込めることができない。

 朝の目覚ましが鳴って起きるのに、腹筋は使えた。上体を起こす。しかし、肩から首筋にかけては凝り固まって動かない。立ち上がるのが激痛だからぐずぐずしてしまう。そのまま勇気が出ないまま5分が過ぎて、ようやく自分に言いきかせるのだ、いつまでもここに腰掛けているわけにいかないでしょ、と。で、えええいっっと台所に立つ。

 夫の朝ごはんと週一のお弁当はなんとか拵えた、人参の千切りが出来ないような状態で、フライパンを持ち上げることは出来なくて、だったが。

 

 …ちょっとこの覚書、時間かかるぞ、続きは明日にしよ…