届かないからこそ

「ラムネの瓶が嫌い」と私。

「どうして?」と夫。

「だって、中のビー玉が絶対に欲しくなるのに、絶対にとれないんだもん」

  割らない限りは。

  だけどあの、綺麗な瓶を壊してしまったら、ビー玉の価値も無くなってしまう気がする。

  そう本当はね、あの瓶が大好き。透きとおったあおみどりのガラスで出来た、色も形も。

 「最近は瓶の飲み口がスクリュー式になってて外れるのもあるよ。でもさ…」

  夫は続ける。

「ビー玉が取れないからこそいいんだ。あの瓶の造形美はそれも含めてなんだ」

  うん、私もそう思う。