「よろしゅうおあがり」
看護師さんに言って貰ってはっとなった言葉だ。
この春の入院中のこと。ご馳走様でしたと食器を返す患者たちに、ひとりだけ、「よろしゅうおあがり」と答えてくれる看護師さんがいた。
そんな年配のひとじゃない。だけど、石けんと押し入れの匂いが混じった、お祖母ちゃんのフトコロを思い出させる響きがした。
全く聞いた事のない言葉ではないから余計に心にかかるのだ。
調べてみると、関西の方言で、「おあがり」と言っているけれど「召し上がれ」ではなく、「ごちそうさま」に対する答え。
標準語にするならば「お粗末様でした」といったところだそう。
因みに…”よくぞ私の料理を食べて下さいましたね”という意味なので、食べ残しがある場合には言わない、というのも面白い。
夫に拵える、いつもはご飯のお弁当を、珍しくサンドイッチにしたところ、昼休みにラインが来た。
『おいしかった、ありがとう』
照れくさくて、返信に迷って……使ってみちゃった。
『よろしゅうおあがり』