ネット越しの弟

弟の秘密をしってしまった。いえ本当は秘密でも何でもなかったんだろうけれど、情報の入手経路に問題があった。 きっかけは、数年前のTV番組でタレントさんが言った、”世の中には2種類の人間しかいない、自分の名前を検索するヤツとしないヤツ。”この言葉…

猫の額の小宇宙

団地で育ち、社宅に移り住んだから、一軒家で暮らすのは今の家が初めてだ。どうしていいやら分からないまま数年たち、荒らしてしまったお庭にようやく手を入れ始めた。 まずは伸び放題の枝を切った。小さな中古住宅のごく狭い庭だが、前に住んでいたご主人は…

ちょっと、じゃないちょっと

ちょっと、気になっていた。 ”ちょっと、…”というタイトルで先週さんざん記事を書いていて。 ちょっと、と普段から使うけれど、そのまんまじゃなく、真逆の意味でも使うんだなあと。 ”少し”という場合、”かなり”という場合、あと”呼びかけ”、大まかにこの3つ…

今年も忘れずに咲く

埃っぽい県道沿いでバスを降りる。私を乗せて来てくれたバスと、反対車線のダンプカーが走り去ると、向こうに広がる景色が変わっていて、少しの間だけ立ち尽くしてしまった。 あんなに青く天を向いていた稲穂たちが一面の黄金色に変わってしまって、たわわな…

父が私を分からなくなるなんて

父が私のことを分からなくなる日がくるんだろうな、と、もう何年も前から緩く身構えている。しかしいざとなっても受け入れられることではないだろう。午後に顔を見にいく予定だが、今日それが現実になるかもしれない。 父は15年くらい前から認知症になって、…

叱られて

昨日、夫に叱られた。私がなかなか何とかしないクッションのカバー問題で。「これはひどいわ…」と、居間でTVを見ていた夫が、フローリングのざらつきを指摘した。よく使っている円座がちょっと前からほころんで、中のクッション材が少しずつそぼろ状になっ…

無精卵を抱く

4日前、インコが卵を産んでいた。メスだったのね。 この春、譲り受けたコで性別は分からなかった。紙を好んで細長く噛み切っては尾羽の辺りに差し挟もうとする、この自らを飾り立てる行為から、オスではないかと思っていたのだが。 ケージの床にころんと転が…

もしや”褒めて伸ばそう”と?

なんでかな、夫はやたらと……こんな良い事にこんな言葉を使うとバチが当たりそうだが……やたらと「ありがとう」を言ってくれる。 朝。ご飯が出来たよと起こしに行くと「ありがとう」、食卓に着いて「ありがとう」、食べ終わって「ありがと、ごちそうさま」、そ…

ちょっと、凄かった 結び

1年半ぶり。駅から7,8分の何でもない道が遠い。25分かかって辿り着く。繁華街に名医が開くクリニックはコンパクトで、待合ベンチのすぐ前に診察室と処置室。診察室の扉が開き、看護師さんに呼ばれ、返事をしたものの立ち上がるのに数秒かかり、そこから扉ま…

ちょっと、凄かった 続き×4

昨年の3、4月頃には歩き方を誤魔化せなくて、仕事先で「酷いねん挫で」と言い訳した。体調の事を、同僚には話せても、取引先には言えない職種であった。電車に乗っての行き帰りがキツいだろう、ひとりでは行かせられないと、夫が可能な限り送り迎えをしてく…

ちょっと、凄かった 続き×3

一昨年の元旦から始めた医薬断ち。半年間はなんともなかった。が、夏頃から指が腫れて痛み出した。部位は小さいが痛みで夜中に目が覚める。グーに握っている指を開こうとして痛いのと動かないのとで一苦労で、掛け布団を掴めなくなった。 それから手首が痛み…

ちょっと、凄かった 続きの続き

今朝6時半、出勤支度を調えて玄関を出た夫が「寒い」と言った。9月に入って涼風が立つようになっていたけれど、もう秋の入り口をくぐったのかな。 あの頃、夫は私が寝たきりになることを覚悟していたという。そして私は、もっと早くに夫に病院に引きずって行…

ちょっと、凄かった の続き

どれくらい凄い状態だったかを人に話すのに、一番驚かれるのがこれだ。布団に寝ている時、顔が痒くなっても我慢した。布団から手を出すのが激痛だったし、出したところで手首は動かないし、指先に力が入らない。痒くても死なない、そう思ってやり過ごした。 …

ちょっと、凄かった

水着姿を確かめる。さいわい洗面台の鏡では腰から下は見えない。 服の下に水着を着ていくなんて、小学生みたい。 同じことを、そういえば一年前にも思ったっけ。ちょうど去年の今頃だった筈。それまでの一年と、それからの一年は、人生のエアーポケットみた…

父、母、泣きたくなる景色

畑があって、田んぼが広がっていて、それを抱くようになだらかな山がぐるりを囲む。山のふもとに離れて建つ民家は昔ながらの日本家屋。農道を軽トラックが走っていく。 父のいる施設は、こんな典型的な里山にある。2時間に1本来るか来ないかのローカルバスを…

マグレあ・うん

我が家はゲコゲコ家族、夫も私もお酒を飲まない。夕食後におやつをつまむから、買い置きをしている。 スーパーのお菓子の棚を眺め……今日はしょっぱ系はおにぎりせんべいにして、甘いサクサク系はまだマリービスケットが残ってる、残業で疲れて帰ってくるだろ…

高橋を何と読む??

乗ったバス、いつもの路線。信号で止まった交差点名プレートを見るともなく見る。漢字で大きく「高橋」、その下にローマ字で「takabashi」…ん?んん?? タカ・バ・シ!? タカハシじゃなく!? いやあびっくりした。タカハシ、だと思い込んでたよ。ほらごら…

子どものケンカに親

昼下がり、庭で「フギャ~~オ」と猫の雄叫び。さっき出て行ったうちのアポロではと庭に面した掃き出し窓へ急ぐ。我が家の庭にはヨソの猫やアライグマなんかも来ることがあるが……アポロだ、庭を囲う胸の高さのフェンスの上で、おっと向かい合っているのはよ…

夫婦喧嘩、そして

我が家の夫婦喧嘩の典型的なカタチ。 お昼過ぎ、二人で帰宅したら、夫宛宅配の不在票が。夫は再配達の連絡をしようとしたが、私が「いつも夜もう一度来てくれるから大丈夫だよ」と言うので、やめた。 そのまま、気が付けば夜9時になっていた。 夫 来なかった…

大人になってトクしたこと

高校生の時に私は、大人になりたくない、と言った。諦めたり、ズルくなったりして生きるのは嫌だと思った。 その願いは幸か不幸か叶って、子どもを持たないから幾つになっても親の立場でなく、子どものままの目線で、精神的に成長出来ずにいる。 しかし、そ…

届かないからこそ

「ラムネの瓶が嫌い」と私。「どうして?」と夫。「だって、中のビー玉が絶対に欲しくなるのに、絶対にとれないんだもん」 割らない限りは。 だけどあの、綺麗な瓶を壊してしまったら、ビー玉の価値も無くなってしまう気がする。 そう本当はね、あの瓶が大好…

生きる意味

なぜ生まれてきたんだろう、とか、 人生ってなんだろう、とか。 これまでに何度かは考えたことがあったと思う。 幸せでありたいし、人に喜ばれる偉い人になれるにこしたことはない。 だけどね、アポロのだらけきった寝姿を見てるとね、 ”猫一匹、こんなに幸…

脱走クワガタ!

夏休みなんだな。虫取り網を持った小学生男子を立て続けに見かけた。 お目当てはセミか、トンボ、蝶あたり? 街中じゃ難しいだろうけど、花形はクワガタやカブトムシよねぇ。 私の育った辺りは山のすぐそばだったから、男子達はクヌギの木を蹴飛ばしたり、木…

好き、という気持ちだけ

日曜日だけど夫は出勤で、ウィークデイと同じように、梅雨曇りな昼下がりをぶらぶらとスーパーマーケットに出かける。 持ち重りのするエコバッグを肩に自動扉をくぐって歩き出し、ふと思った。 子供もいない専業主婦の私って、アポロと一緒じゃん。 アポロと…

ツンデレな食べ物?

え~、…誤解を恐れつつ申します、なので苦情は受け付けません…でもどうしても文句言いたいという方がいたら、コメント欄にどうぞ。 ”赤エンドウ豆”って不味いと思う、はっきり言って。けれどその不味さが旨い! 赤エンドウ豆ってアレです、みつまめに入って…

ネットの大樹に抱かれてる

家の前の溝に、2年くらい前からモミジが生えてきていた。小さな苗木が愛らしく、しかしここで大きくなるわけにもいかないがなぁ…と思いながらそのままにしていた。 モミジは少しずつ、すくすく育って、この春には細い枝みたいな幹が1メートルに達し、か細い…

イモリとヤモリ、言うてる女

生き物が大好きな夫の誕生日プレゼントに、 『イモリとヤモリ』 という絵本を買うことにした。最近発売されたものらしく、ネットで1ページ紹介されているのを見て、夫が気に入った様子だった。 で誕生日当日、比較的大きな書店へ行くが、見当たらない。店員…

多少と少々、どちらが多い?

商店街で、靴屋さんの前を通った時に、こんな札が目に入った。 『多少難あり』 店先に山と積まれたセール品の一つに付けられていた、マジックで手書きの札。 え~っと、こういう場合、よく見聞きするのは、 『少々難あり』 ではないだろうか。 『多少』ヴァ…

大器晩成にもほどがあるわよね

社会のエアポケットにいるな、と昨日そんなことを思った。 体を壊して仕事を辞めたのがちょうど一年前。それから通院して回復していったが、この春に手術入院をしたので、ほとんど家にいた。 もともと仕事も週末のみの専業主婦に近い状態ではあったが、僅か…

”あなたが心底惚れていたら、夫は浮気なんか”

出勤する背中にふと思う。 ”便利な女、都合のいい女になるのは嫌だなぁ” とここですぐ思った。 ”便利な女になれてるか?なってから言えよ” あつかましいっつーのと、自分に苦笑い。 毎日が穏やかで時々怖くなる、夫に他に好きな人がいたらどうしようって。 …